21世紀に向けて、地球環境への関心が高まっているなか、
芸術文化振興基金助成による世界遺産をテーマとしたポスター展。
現在、ユネスコによりリスト化された世界遺産は506ケ所におよび、
我が国では1992年に条約締結国となって以来、
国内で相次いで世界遺産の登録地が誕生し一般における関心が高まってきている。

展示された230点のポスターは、社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)が
これまでにアピールしてきた平和や環境問題を基盤とし、
より具体的なテーマとして制作された作品である。
この展覧会は、コミニュケーション・アートといわれるグラフィックデザインにより、
世界遺産について写真や映像だけでは得ることのできない
様々なビジュアルメッセージを発信する試みである。

世界遺産ポスター展が意図するものは、人間がその歴史とともに
数々の文化をうみだし、自然や環境と共存してきたと同時に、
その文化や経済の発達にともない環境破壊がおこり、また戦争などにより、
それらを壊してきたことへのメッセージである。
世界遺産を次世代へと受け継いでいくことは、人類が歴史のなかで
営々と築いてきた文化をまもり、そこから多くのことを学ぶことであり、
また自然との共生という人類がこれから生き続けていくことにとって
欠くことのできない意志の表れでもある。
繰り返してはならない事実の記憶も含め、これから未来へ伝えていかなければならないのである。

会場の壁面と天井中吊りのテーマポスターデザインもひとつの空間エレメントとして存在し、
あたかも遺跡に積み上げられたブロックのような様相を見せ、
作品ポスターの床置き構成や天井をブルーに染める照明が、
バーチャルな遺跡空間を演出する。

空間の構成材として、スチール製にとって代わられ近年使用されることの少なくなった
木製の足場板を利用することが今展覧会の大きな特徴である。
そこには現場職人たちの仕事の痕跡が、遺跡と等しく人間の営みを語る。
会期終了後、足場板は本来の用途に返される。
貴重な資源を保存・活用していくことは人類の今後の課題であり、
またエキジビションの世界でも同様である。
この展示はそうした課題への試みである。





展示場所 松屋銀座店 アートディレクター 田中俊行
所在地 東京都中央区銀座3-6-1 デザイン 空環計画研究所
展示面積 430F コミッショナー 佐藤晃一
完成年月 1998年9月 照明ディレクター 面出薫
プロダクション エム アンド エー
クライアント (財)日本グラフィックデザイナー協会
日本デザインコミッティー




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