
20世紀は“人間が自動車に恋をした時代である”といわれる100年の“車文明”について、
トヨタ博物館では、ガソリン自動車の誕生に始まる4扉セダンへの過程をバックボーンに、
現代へとつなぐ“技術体系”として凝縮し、20世紀から21世紀への伝言性を示している。
ベンツ三輪(1886)をパイオニアにフォルクスワーゲン(1938)へと結実した
欧米の自動車技術を基盤として、日本の自動車工業を創生させた転換点に
トヨダAA型(1936)を位置づける体系論に沿って
集積された〈もの〉、その背後に歴史を証言する〈こと〉を語るメディアと言える。
そうした意味からここに展開される〈もの〉と〈こと〉の構成には、
ある宇宙観を凝縮して見せる“一輪挿し”の単純化に通ずるデザインの方法を執った。
この視点から抽出さた〈もの〉を点的に繋いでいくことによって
“車文明”への想像力をかきたてる論理が、空間へと連続する。
主題を統一する体系の論理と展示を構成する空間の連続性は、三層を吹き抜けるアトリウムからの
アクセスを軸に、サーキット状の展示空間を回遊する“アメージングな体験”を意図している。
建築のアトリウムが、自然光をとりこみながら3階フロアまでをひとつに連結するスケールの空間で、
自動車100年を凝縮する〈もの〉が発する情報が、ヒューマンスケールで体感される
変化とディテール、さらに文化とデザイン様式を見せることによって、
“車たちの感性”をひきだすとともに“時代の感性”をも体現する。
こうした展示体験の連続性、変化とディテールの体感、デザイン様式の複合化、情報の環境化
といった構成要素が〈もの〉と一体となって多元的にクロスしあいスペースメディアを形成する。
技術の思想や時代の様式へと視点を据えた論理の体系を、体感するスペースメディアとするために、
〈もの〉の象徴性、〈もの〉と〈もの〉との関連性や共通性、
〈もの〉と〈こと〉との意味性を示す、といった演出特性のプログラムによって、
〈もの〉の体系を空間における強い構成的印象として表現することができる。
その印象性は“車”に内在するエンジニアリングとスタイリングの感性までをも覚醒させる。
そうしたデザインの方法は、いかにして〈もの〉を含めた情報から“車文明”のインテリジェンスを
空間に形成することができるか、そのアレンジメントの科学といえる。
“車文明”を実像化するスペースメディアデザインは、“体系”に沿って集積された〈もの〉の
背景となる「知」や「感」のインフラトラクチユア、いわば〈ソフトのインフラ〉をベースに、
人間とのインターフェイスや空間とのインスタレーションを回路として
知的な興奮をともなった“場の力”を空間に発生させ、
“人間が自動車に恋をした”世紀の、
工学と美学のインテリジェンスをミュージアム空間に顕在化する。
| 事業主体 |
トヨタ自動車株式会社 |
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建築設計・プロデュース |
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| 運営主体 |
トヨタ博物館 |
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日建設計・トヨタ自動車 |
| 所在地 |
愛知県長久手町 |
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展示企画体系 |
五十嵐平達氏 |
| 敷地面積 |
46,700F |
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展示設計・映像企画 |
空環計画研究所 |
| 建築面積 |
4,800F |
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建築施工 |
竹中工務店 |
| 延床面積 |
11,000F |
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展示施工 |
乃村工藝社 |
| 展示空間(含、シンボルゾーン) |
7,980F |
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照明演出 |
海藤オフィス |
| 建物構造 |
地上3階建 RC造・S造 |
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映像制作 |
ユニオンプロジェクト |
| 完成年月 |
1989年4月 |
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